受験に思う② 課題の分離

2022.09.19

受験において, 親や指導者が不安と上手に付き合う方法に詳しい北原由美さん(社団法人聴きプロ.com代表, )の特別寄稿です。お楽しみください。興味を持たれた方は,ホームページをご欄下さい。

 

課題の分離

 

初めに「母子一体感」についてお話します。
母子一体感とは本来、幼児が母親に対して抱く「甘え」であり、母親を「自分とは別の人間」として認識できていない心理状態をいいます。その対象である母親も同じようにそうなっていくのですが,子どもは成長の過程でそれが少しずつ少なくなっていきます。自分の世界が出来ていくわけです。

 

しかし,母親の方はその時のままで,表面的には離れたようにはなりますが,根底のところで,それが抜けきれず従属の関係を保とうとします。そして,子どもの舞台に立ってしまう言動になるのです。もちろん,よくなってほしいという思いがあるからですが……。

 

特に,受験は合否というはっきりと目に見えるモノなので,合格してほしいと思うからこそ,手出し口出しをし,自分の思うようにならないのを見て,心配になりそれをなくすために,また口を出すという循環になっています。

 

ここで課題の分離ですが,子どもには子どもの課題があり,おかあさんにはおかあさんの課題が在ります。それはそれぞれのもので,どんな課題であっても相手が解決するものではないということです。つまり,お母さんは心配という課題をお母さんが解決し,子どもの言動や結果で解決するものではないのです。それは子どもも同じです。

 

自分の課題は,他の人が解決できるものではなく,解決してもらおうなんて,子どもには荷が重すぎます。子どもは自分の課題だけで充分重いのに,それ以上におかあさんの課題まで,って……。

 

それは,ちょっと酷だと思いませんか。