やっぱり,子どもって素晴らしい ②

2022.11.13

前回は,バレーボールで出会った松地君をご紹介致しました。今回は,学習指導でご縁を頂いたK君から学んだことをお話を致します。

 

K君は学習に全く興味が湧かず,中学校になっても全くと言っていいほど,学習習慣はついていませんでした。成績は所属中学校の最下位でした。進学については,「周りの先輩を見ていて,公立高校は無理やけど,どこかの私立高校に進学できるのでは?」くらいの感覚でした。

 

そんな状態で,2月の私立高校受験を迎えました。結果は不合格 …… 。次の日に私のところにやって来て,「先生,高校に進学したいんです。」と訴えてきました。私が,初めてK君の真剣な顔を見たときでした。残るは公立高校と,3月末にある欠員補充の二つであることを伝えました。公立高校は初めから頭の中にはないようで,「欠員補充って何ですか?」と尋ねてきました。高校入試合格したが,合格後手続きをしないために起こる定員割れを補充する入学試験であることと,定員割れがないときは実施されません,と一般的な内容を伝えると,しばし考えた後,「先生,僕が公立高校を受験できるのでしょうか?」と質問してきました。受験できますよ,私は答えました。成績は学年で最下位である上に何度か警察にもお世話になっていたK君は,「学校は,内申書を書いてくれないのでは?」と不安を打ち明けました。K君と保護者が学校にお願いすれば,きっと学校は調査書を準備することとお伝えしました。ただし,合格するかはどうかは分からいこと,合格かどうかは今後1ヶ月のK君の取り組みが決めること,今年K君が間違いなく高校受験できる機会は,1ヶ月後にある公立高校入試のみであること,の3つをお話しました。翌日,公立高校受験のための調査書作成依頼のために所属中学にいるK君と保護者の姿がありました。以来のときには,先生方から「えっ,公高校を受験するの?」,「合格は,考えられない」などひどい言葉をK君に浴びせたようです。が,K君はじっと我慢,保護者の依頼で調査書依頼は受け付けられました。その直後黒澤への連絡がありました。このときが,K君が公立高校受験を決断した時でした。同時に,3月にある公立高校入試までの訳1ヶ月の受験学習指導を黒澤に見てほしい,とK君と保護者から依頼を頂きました。

 

私の心の中にまず浮かんだことは,「中学の3年間ほとんど学習をしていないことと,残りの時間が僅か1ヶ月であることを考えると,合格できないのでは?」という思いでした。実は,K君の保護者から中学時代には数回の教育相談を受けていた関係もあり,無下にお断りするわけにもいかず,高校受験までの教科指導を受けるか受けないか,たいへん迷ったことを思い出だします。その結果,次のことを条件に高校受験指導をお受けすることに決めました。

 

① 教えることは,最小にする

時間がないので,3年間の国・数・英・理・社の教科内容を教えることは不可能です。わずかに残された合格の可能性は,「K君が,自ら学ぶこと」以外にはないのです。

 

② 学習計画と教材は,黒澤が作成する

 

③ 学習指導  指導は,週1回2時間(入試まで4回)とする。

指導内容は,K君が一週間に家庭で学習したことで分からなかったところを質問し,担当が回答・基本事項のポイント整理をする。

 

④ 指導方針  教科指導は,K君のわずかな合格可能性を心から信じるオフィススタッフが担当する。その他,K君のメンタルサポート・保護者サポート・学校対応など高校受験に関することは黒澤が担当する。

 

⑤ 教科指導者  S君(大阪大学生)。S君が工業高校3年のときに,自分が目指すものが大阪大学にあることを知り,周りの反対にも関わらず中途退学し阪大受験を実行した生徒でした結果は,見事な合格でした。現在,S氏は大阪大学の先生になっています。

 

⑥ 高校受験模試(5教科)  黒澤が提示する高校受験模試を日曜日ごとに4回受験する。平日は,この模試に向けて学習する。

指導を初めて1回目の高校受験模試の結果は,5教科合計点79点,数学8点と散々な結果となり,波乱万丈の公立受験がスタートしました。3月受験までの1ヶ月は,ここには書くことができない色々なことが起こりました。が,結果的には公立高校普通科に見事合格でした。K君は,黒澤の想像を超える結果を作り出しました。

 

K君は,子どもの可能性は無限大(∞)であることを我々に教えた生徒でした。

やっぱり子どもって,素晴らしい❣