低学年の小学生と集中力

2022.12.01

小学生を持つお母さんと話していると,「うちの子は集中力がないので困っています。」という声をよくお聞きします。実は,このブログにも参加頂いている小学校の現役先生であるK氏から興味深い実践をお聞きしました。今回は,このK先生の実践報告をシェアーします。

 

……子どもの『〜したい』が集中力を引き出す……

 

先日、ある研修会で『体力』の向上には『したい力』が大切です。という話を聞きました。私は、このことにすごく納得しました。大人でも、医者に運動しなさいと言われても、なかなかやる気は出ません。ただ、好きな買い物をしていると時間も忘れて歩けてしまう。なんてこともあるかもしれません。

子どもに運動しなさいというのではなく、運動したいと思う仕掛けづくり、環境づくりが私たちの役目なんだと再確認しました。

これは集中力にも同じことがいえると思います。私が今、担任している2年生の子どもたちの姿をいくつか紹介します。

クラスにうまく字の形を捉えて書けない男の子がいます。彼は生き物が大好きで、植物の命まで大切にできる子です。彼は自分が育てている野菜の観察になると、背筋を伸ばしてえんぴつを持ち、プリントの裏までぎっしりと文字を書くことがあります。

2年生当初、算数の授業がある日にはお腹が痛くなっていた女の子がいます。彼女は友達と学ぶことや、自分で工夫することが大好きです。休み時間に覚えた九九を折り紙に表にしてまとめたり、その表を使って、友達とかけ算をきちんと言えるかなクイズをしたりして遊んでいます。

 

授業中どうしても話をしてしまったり、運動場の方を見てしまう男の子。国語の好きな本を紹介しようという学習で、友達が紹介してくれた本がとても気に入り、60ページぐらいを一気に読み切ってしまいました。最後に一言、「感動したぁ~。」と言っていました。

 

子どもたちの『したい』が生まれるのは、自分が好きなことをするとき、自分なりに考えてやるとき、誰かとやるとき、自分で選んでやるときなど、それぞれに違うと思います。ただ、『したい』という思いが生まれたときの子どもたちの集中力は本当にすごいです。

これまでたくさんの子どもを受け持って、本当にすごい集中力の子どもに出会うことがありました。保護者の方に「どうしてこんなに集中力があるのですか?」と聞くと決まって、家では好きなことばっかりやって困っていますと答えられます。大好きなレゴブロックに熱中したり、大好きな恐竜の本に釘付けになったり、お菓子作りばっかりしていたり。時間を忘れるほど夢中になれることがあるというのは素晴らしいことです。

きっと『したい』ことでついた集中力は、体力と同じで、色んな場面で発揮されるのだと思います。

 

K.A