なぜ,数学を学ぶのでしょうか?

2025.07.17

先日,ある中学生が黒澤に,「何のために,数学を勉強するのですか?」と尋ねてきました。数学教育に携わって50年,思春期の多くの子供たちから,この質問を頂きました。皆さんなら,どのように応えますか?

子どもたちは,大人(親を含む)のほとんどが,学校で習う数学(分数の割り算・方程式・微分法…)を毎日の生活の中で使っていないことを知っています。だからこそ,子どもたちから,社会で使うことのない数学を「なぜ,勉強しなければならないのですか?」という質問が出てくるのです。「世界の子供が,学んでいるから。」とか,「入試や就職試験で必要だから。」と言う回答が現実的です。社会に出て活躍する子供たちを育てるうえで,この点を疎かにすることはできません。が,膨大な時間を費やして数学に取り組む子供たちを見ていて,数学の面白さや達成感など,子どもの精神性にいい影響を与えるものを伝えたいと思い,いろいろと試行錯誤を繰り返してきました。

答えが一つである数学は,「問題→どのように解くかを考える→答案作成→間違い直し→再チャレンジ→答えに至る」の流れが明快であり,「目標→計画を立てる→行動する→分析→再チャレンジ→結果」という目標達成のメカニズムを実感しやすい,という特徴を持っています。社会に出た後も,このメカニズムは日常生活からビジネスまでいろいろな分野で「活用できるスキル」であるだけでなく,これこそが「成功法則である」なんて,黒澤は思っています。数学の理解を深めるとともに,成功法則に触れる機会の提供も数学を学ぶ意味であると考えて,現在のリモート授業の指導に取り入れています。

とは言うものの、子どもたちからの「数学をなぜ学ぶのですか?」の問いかけは永遠のテーマであり,黒澤を磨くエネルギーとなっています。