オンリーワンとナンバーワン

2022.05.30

日本の学校における数学教育目標の中に,「評価する(成績を出す)」ことと「生徒個人の数学的理解を培う」ことの二つがあります。前者では,生徒全体に一つの教材を与えテストを実施,その結果を順に並べ基準に従って生徒を評価します。言わば,教師がナンバーワンを決めるための指導です。この代表が,入試です。後者では,一人一人の生徒が自分を出発点にし,数学理解を深めます。そのために指導者は,生徒個人に合った教材や環境を提供します。これは,生徒自身が持った力を実現する,言わば生徒がオンリーワンになる指導です。

 

たくさんの生徒を見てきて,ナンバーワンを目指す生徒からオンリーワンが育つこともあるし,オンリーワンを目指す生徒からナンバーワンが育つこともあります。が,私の経験で言うと,「ナンバーワンを目指し,数学に挫折する生徒」の方が圧倒的に多いのです。特に,大学入試を意識した(ナンバーワンを目指す)指導をする高等学校では,数学の能力が高いにもかかわらず,数学アレルギーや戸惑いを持つ生徒が溢れています。

 

現在の多様化した時代には,オンリーワンを目標にする数学指導がマッチしています。オンリーワンの数学教育から入試を突破する数学力を育てることが,私の数学教育の目標です。