今回は、得意を伸ばして一流になった T 君を紹介します。

2023.06.26

私が教師時代に顧問をしていたバレーボール部に,T君がいました。T君は,身長190cmを越えていますが,体重60kgちょっとという生徒でした。いわゆる,そっぽ型の体形をしていました。彼はレシーブが苦手で,T君の希望を受け,レシーブに意識を置いた練習を続けていました。が,なかなか伸びません。レシーブが伸びないTの気分転換に,得意なブロックに意識を置いた練習に切り替えました。この結果もあり,ゲームでは身長があるT君のブロックは面白いほど決まりました。T君はブロックがさらに面白くなり,嬉々としてブロックの練習に取り組んでいました。

「T君については,レシーブでのミスをブロックでカバーすればよい。」なんて,私が思い始めた頃,意識してT君のレシーブを見ると,何とよくなっていたのです。原因を分析したところ,思い当たることは2つありました。1つは,T君がブロックの練習に積極的に取り組んだ結果,筋肉がつき体重が増えたことです。2つ目は,得意なブロックの練習で,T君が「バレーボールのリズム」を身につけたことでした。しばらく経つと,T君のブロックは日本のトップクラスまで成長しました。この結果,全日本のバレーボールチームの監督がT君をスカウトに来ただけでなく,いくつものバレーボールの強豪大学から,特別推薦入学のお声がけも頂きました。正に,T君は日本を代表する一流選手になりました。T君は,『得意を伸ばせば,苦手が克服できる』ことと,『得意を伸ばして,一流になれる』ことを実証した生徒でした。