先週、4人の教え子に会ってきました。

2023.07.03

先週,4人の教え子に会ってきました。その中に,リモート授業のきっかけを頂いたT君がいました。

T君が中学2年のとき,私は彼の通う学校で講演を致しました。講演の後,T君は「先生,教えてほしいことがあります。」と,私のところにやってきました。T君の質問は,高校数学の内容でした。私は,「学校の先生に相談しましたか?」と尋ねると,「はい」と応えた後,学校の先生は「質問は高校の内容なので,高校で学んで下さい。」と言われたとのこと。T君は,「今,知りたいのです。」という強い意志を私に伝えてきたのでした。

私は,T君の誠実な対応と熱意を感じ,T君が理解できるかどうかが問題ではなく,T君の意欲を育てることが大切であるとの思いから,彼の申し出を受けることにしました。まず,彼の疑問を解決するために,彼の理解に応じた彼用のテキストを作成しました。が,T君は石川県,私は兵庫県。直接会って指導できません。やむなく,電話で指導することにしました。始める前は,『今回の数学的内容をT君が電話で理解することは無理では?』,『理解するより意欲を育てることが大切である。』と言う二つの思いが入り乱れていました。しかし,T君は4時間の電話指導で,彼の疑問を解決してしまったのです。さらに,T君の希望もあり,引き続き高校3年生まで数学を指導させて頂きました。T君は飛躍的に成長し,中学3年で高校数学を終え,高校では数学オリンピックに参加するほどの実力を付けました。

私の想像を超えたこの経験から,自分の経験だけで目の前にいる子どもを判断(評価)することは子どもに失礼である,と心に刻み,子どもの将来の可能性を見て指導することを心に留め続けています。

石川と兵庫で始まった遠隔指導は電話で始まりましたが,途中からスカイプを使い,今はズームによるリモート授業となりました。まさに,現在行っているリモート授業の生みの親は,T君だったのです。

 

大学院生のT君は,この7月上旬から地球物理の研究と指導に南アフリカに行くとのこと。さらなる健康と活躍を祈りながら,T君と別れました。