すごい子どもに、会いました。

2023.09.25

先週に頂いた教育相談で,中学1年A君の質問にお応えいたしました。A君の質問は,「なぜ,マイナス×マイナス=プラス になるのですか?」ということでした。学校の先生に質問しても,納得いく回答が得られず,自分で考えれば考えるほど頭が混乱し,今は何が何だか分からなくなっている,とのことでした。さらにお聴きすると,引き算を表す「-」と負の数を表す「-」では意味が違うのに,学校の授業では何の説明もなく,同じ「-」を使っていることに,A君は今も違和感を持っている,とのことでした。

私の約50年にわたる数学指導の経験の中で,この質問をしたのは2人目でした。この疑問は数の本質をついており,数学的センスが特に優れた生徒の中から湧き上がってくるものです。また,数と演算について,論理的に構成しないと循環論法に陥り,何が何だか分からない状況に陥ってしまいます。ちょうど,A君がこの状況でした。A君がこの疑問を持ったことの素晴らしさと,この疑問を理論的に理解ためには,大学数学の知識が必要であることをお伝えしました。このあたりから,A君の表情が穏やかなり,次へ進む姿勢を感じましたので,教育相談を終えました。

数学のセンスが抜群な生徒でも,学校の授業で苦戦することがあるのが,日本の数学教育であることを再確認した出来事でした。

(追伸)後日,お母様から「A君が,新たな気持ちで数学に取り組み始めた。」とお聴きし,嬉しい限りです。A君に,たくさんの良きことが訪れますように……